武雄市:陽光美術館
陽光美術館の運営方法は総社市ではありえない。それよりも大切なことは、なぜ、総社市に美術館博物館が必要なのかである。それは、総社市の教養・文化レベルを更に高いものにするためだ。美術館博物館は教養・文化のシンボルだと言える。江戸幕末期、イギリスの視察団は日本の民衆の教養・文化レベルの高さに驚き、日本を植民地にする計画を諦めたと言われている。それだけ、教養・文化というものは大切なのである。教養・文化レベルというのは、長い歳月をかけて養うもので、幼い頃からの教育が大切になる。総社市の子ども達にも、総社市のこれまでの伝統や文化、郷土の誇りを伝えていかなければならない。
しかし、現状の総社市では、偉人が輩出され、偉業が成し遂げられているにも関わらず、それを集積する場所がない。仮に今、総社市で古墳が調査され国宝が発見されたとしても、保管・展示できる場所も施設もない。県や他市に頼るしかない状況で、これでは貴重な総社市の財産の流出になる。現に、古川古松軒(新本出身)が残した文献は県に、堀和平の絵画などは莫大な価値がありながら総社市では保管できず倉敷市に流出している。郷土の偉人の足跡を子どもたちに見せずして、どのように郷土の誇りをもてというのか。
まず、優秀な学芸員を配置し、質の良い美術館博物館を整備することが急務であることは論を待たないと、私は考える。
武雄市:ICTを活用した教育
武雄市ではすべての小中学校で児童生徒が1人1台のタブレットPCを所有し、全ての授業でタブレットPCの活用を目指している。タブレットPCは学校の中でだけではなく、家庭に持ち帰ることもでき、動画を活用した予習を行うこともできる。また、電子黒板と連動させ、自分の考えをタブレットPCに書き、瞬時に電子黒板に送り、教室内の児童生徒全員と協働学習を行っている。プログラミング教育では、道徳教育と融合させた内容で、とても興味深い内容だった。
しかし、タブレットPCの使い方を児童生徒ひとりひとりに教えなければならないこと、教科書が紙媒体であると同時に著作権の問題から写真や文章が転用できないため、教科書の内容を電子化するのに先生方の手間が増えている部分も見受けられた。実際にはタブレットPCの活用率は全教科で2%程度だという。教科書が電子化しない限り、タブレットを全ての授業に取り入れるのは、実用的ではないと感じた。
余談にはなるが、武雄市の市役所庁舎がとても参考になった。市民の方が集えるよう多くの工夫がされており、机などがたくさんあり実際に高校生が勉強をしていた。現状に総社市役所庁舎では、なかなか考えられない光景だった。総社市役所新庁舎も市民の方の拠点となれるよう、武雄市を見習って熟考していきたい。