令和5年7月7日(金) 総社市議会議員研修会が開催されました。
実は、とある雑誌で鎌田浩毅先生の投稿記事を拝見し,「是非とも 先生のお話を聞きたい」と先生に直談判して実現したものです。
一人でも多くの消防職員にも聞いてもらいたいと,会場を消防庁舎に設定し、「南海トラフ巨大地震による岡山県南の被害予測と防災」というテーマで,市議会議員を始め,防災士や自主防災組織のリーダーなど総勢70人が先生の講演を聞きました。
先生が伝えたかったのは次の2点です。
- 今から約10年の間(±5年間)に南海トラフ地震は必ず起きる。パス(起きない)はない
- 東日本大震災の被害より1桁大きい
先生は研究者として,史事を踏まえながらも,しかし,とても分かりやすく話してくださいました。
「南海トラフ地震は,1605年の慶長地震から始まり1946年の昭和南海地震までおおむね100年に1回起きています。次は20××年。これが起きるのが2035プラスマイナス5年。
南海トラフ地震は,静岡沖の東海地震・名古屋沖の東南海地震・四国沖の南海地震と3連動で,ひょっとすると日向沖の九州まで。
津波の高さは34メートルに達するといわれています。これは11階建てのビルと同じ高さ。ものの3分で襲ってくるので,被害が大きくなります。
しかし,地震がおこるとわかっていて準備をしていれは、例えば20秒もあれば机の下にもぐれる,頭を守ることができ助かることができます。知っていることは助かること。
今日の話を身近な人3人に伝えて欲しい。3人がそのまた3人に,それがまた3人へ広がります。
さらに,この巨大地震の被害想定額は220兆円と言われています。これは国家税収の3年分。被災者数は,6800万人で,首都圏や名古屋・大阪など経済や産業の中心が被災するので国家の危機と言えます。
誰も助けてはくれない,自分の身は自分で守る,自分の職場や地域は自分で守るしかないのです。
そこで、災害が少ない岡山とりわけ内陸部に位置する総社には,南海トラフ地震の際に,被災地を助ける拠点になって欲しい」と身振り手振りでエネルギッシュに,時にユーモアを交えながらの1時間半はあっという間でした。
皆さん 南海トラフ地震は必ず起きます。
それまでに,家族でできること,地域でできることを準備しなければなりません。地域で何をしなければならないか,共に考えましょう。
鎌田浩毅先生プロフィール
1955年生まれ 京都大学名誉教授 京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授
理学博士(東京大学)
火山や地震が専門の地球学者
著書には 「地震はなぜ起きる?」(岩波ジュニアスタートブックス)「富士山噴火と南海トラフ」(ブル-バックス)「首都直下地震と南海トラフ」(MdN新書)ほか多数