【セミナー名】第1部:国土強靭化政策と公共事業 第2部:公共施設の再編問題とコンパクトシティー

【日時】2017年2月16日(木)

【会場】アットビジネスセンター 東京駅八重洲通り

 

第1部 国土強靭化政策の公共事業

地域の公共施設・インフラの状況、主に、地方の普通建設事業の推移や社会資本の維持管理の将来推計、地方財政の変化、老朽化の進展など説明。今後の公共施設の整理・統合などが必要であることを認識させられた。 とくに、市町村合併の影響は大きいとのこと。その理由に

①旧市町村ごとに公共施設を維持している。

②その一方で、合併特例債を用いて、新たな公共施設を建設しているケース。

③職員定数の削減に加え、公共施設の過剰感が非合併自治体に比べると大きい。

④公共施設の統廃合に際しても、旧市長村単位の名残りが、根強く生じている。

などが紹介された。 一方で、国土強靭化基本法(2013年12月)

・行財政の改革の視点「①既存の社会資本の有効活用等により、施策の実施に要する 費用の縮減を図ること。②施設または設備の効率的かつ効果的な維持管理に資すること③民間の資金の積極的な活用を図ること」

・大規模災害等に対する「脆弱性評価」

・国土強靭化地域計画を指針として都道府県・市町村の他の計画を策定する(アンブレラ計画)。

・公共施設の老朽化への対応

などを国が示してきた。しかし、実施するのは市町村である。

そして、 効率的な推進のために、

・人口減少等に起因する国民の需要の変化、社会資本の老朽化等を踏まえるとともに、 財政資金の効率的な使用による施策の持続的な実施に配慮して、施策の重点化を図る。

・限られた資金を最大限に活用するためにPPP・PFIによる民間資金の積極的な活用を図ること。

としている。 講師からのPFI方式に対する主な指摘は

①PFIはメリットがあるのか。民間が銀行から資金を借りて建設・運営するが、金利は自治体の方が低い。民間はリスクが高く金利が高い。

②サービスがよくなるか?企画提案が民間から必要ならプロポーザル方式がある。

③民間・PFI方式の方が安いというデータはない。

④自治体は利益を得ないが、民間は利益追求。

⑤2003年からPFIは進んでいないのは、自治体にメリットがないから。

⑥自治体の財政負担を軽くするというが、予算が安くなるのではない。

⑦民間を儲けさせ経済を活性化さるというが、現実はそうなっていない。 などであった。

 

また、骨太方針2015でも、ファシリティマネジメントを通じて公共サービスの産業化を進めるとして、PFI/PPPが推奨されている。他、国土形成計画、地方再生法、まち・ひと・しごと創生など、あらゆる法や計画に、コンパクトシティやPFI,公共施設再配置などが強調されるとともに、財政的にも2015年度の歳出、2016年度地方創生関連予算の概算要求、でも国策として推進していることが明らか。

 

将来の地域ビジョンと自治体政策(大事な視点)

・人口減少・高齢化という現実を踏まえ、縮小の実態を冷静に見極める。

・「縮小」を賢く捕らえることによって、優れたコンパクトシティの実現へ向けた戦略を立てる。そのために、国の動きを絶え間なくフォローする。

・自治体ビジョンを市民で共有・合意できる取り組みを展開する。

・地域でのボランティアやコミュニティ・ビジネス等を通じた地域分散型システムを 構築する。

・地域住民が「働く」ことを通じて社会に内包され、一人ひとりが尊厳をもって生きていくことを目指す。

 

第2部 公共施設の再編成とコンパクトシティ

  • コンパクトシティとして富山市
  • 公共施設削減への取り組みとして3パターン

①公共施設マネジメントの策定のみ(実施の困難に直面)

・相模原市、さいたま市、秦野市

②公共施設マネジメントの実施を最優先

・浜松市

③公共施設マネジメントを地域へ委ねる

・飯田市 などが紹介。

各市の取り組みが特徴的であり参考となる点も少なくない。