【セミナー名】第44回 市町村会議 議会研修会 ~公共施設、空き家、コンパクトシティをどう考えるべきか~
【講 師】中山 徹
【日 時】2018年5月14日(月)・15日(火)
【会 場】岡山商工会議所
政府は人口減少に伴って、国土の再編成を進めようとしている。再編成のキーワードはコンパクトとネットワークである。
まず、コンパクトとは人口減少に対応して街を縮小すること、立地適正化のことを指す。これまでの人口が増える時代は市街地を拡大していく必要があったが、これからの人口が減る時代は市街地を縮小させていこうという考えだ。一般的に人口密度と行政コストは関係が強く、人口密度が低いほど一人あたりの行政コストが大きくなると言われている。そこで、市街地を縮小し人口密度を上げることで、行政の効率化を維持しようという動きを立地適正化計画という。
立地適正化計画は、居住誘導区域と都市機能誘導区域の2つの区域が柱となる。住居誘導区域とは、都市機能や住居が集積している都市の中心拠点及び生活拠点並びにその周辺区域、都市の中心拠点及び生活拠点に公共交通により比較的容易にアクセスできる区域、合併前の旧町村の中心部などの区域の3区域が示されている。この区域は市街化区域内に設置する必要があり、都市計画法で言う市街化区域をよりコンパクトにして密度を上げるといったイメージだ。都市機能誘導区域とは、病院・高齢者施設・保育所・図書館・スーパーマーケット・市役所支所などの都市機能増進施設を、都市の中心拠点や生活拠点に誘導し集約させ、効率的なサービスの提供を図る区域のことを言う。この区域は住居誘導区域内に設定する必要がある。
次にネットワークとは、連携中枢都市圏のこと指す。連携中枢都市圏とは、市町村合併ではなく、市町村の枠組みを残しながら連携する圏域のことを言う。連携中枢都市圏が行うことは、圏域全体の経済成長のけん引、高次の都市機能の集積・強化、圏域全体の生活関連機能サービスの向上だ。地方中心都市と周辺市町村が連携し、経済対策と生活サービスの提供を効率的に進め、自治体単位では人口が減ってもネットワークを整備すれば圏域全体では人口が確保でき、一定規模の医療、教育、商業施設なども立地できるという考えだ。連携中枢都市圏は連携中枢都市と連携市町村で構成されており、近隣では岡山市と倉敷市が連携中枢都市の要件に該当している。
所感:岡山市との『岡山連携中枢都市圏』における桃太郎線LRT化の意義
総社市の人口も2045年には6万3千人に減少すると推測されており、それに伴った街づくりの明確なビジョンを持たなければならない。実際にすでに過疎化が進んでいる地域も多く見受けられる。まさに、街をコンパクトにすることが必要だと感じている。人口密度が上がるよう市街地開発の見直し、都市機能の更なる充実にも取り組まなければならない。効率的な行政とは、市民要求が的確に反映する行政のことである。しかし、市民要求を反映する仕組みが不十分だ。そこで、まず拠点づくりから始めるべきである。コミュニティ単位(小学区)で公民館分館などに市職員を5名程配置し、コミュニティの拠点とする。それぞれの職員は医療・福祉、子育て、社会教育、防犯・防災、街づくりなどの担当を持ち、市民の声を聞き、市民と協力してコミュニティの充実に務める。市民にとってより身近な場所に拠点を設けることが何よりも重要だ。1つ1つのコミュニティの充実が都市機能の充実、効率的な行政に繋がる。
次に、他市との連携だが、岡山市と倉敷市がそれぞれに連携中枢都市となった連携中枢都市圏は、岡山市が『岡山連携中枢都市圏』、倉敷市が『高梁川流域圏成長戦略ビジョン』と称した都市ビジョンを掲げている。総社市はどちらの連携中枢都市圏にも属している。また、鬼ノ城や吉備津神社などの桃太郎に関係する文化財を、岡山市・倉敷市・赤磐市と総社市の4市が共同で申請をし、日本遺産認定を受けている。4市の連携によって岡山県の観光業の発展が期待される。中枢都市に都市ビジョンの進捗を任せきるのではなく、総社市の方からより積極的に働きかけていき、密な連携を図るべきだと考える。そのひとつの手段が桃太郎線のLRT化である。岡山市との往来がより早くより便利になれば、桃太郎線沿線だけでなく総社市全体の活性化に繋がる。LRT化というのは総社市にしか出来ない強みである。その強みを最大限に活用しなければならないと、改めて強く感じた。